宇宙こぼれ話

虎野 第8回 ロケットの打上げは大安の日?

ロケットの打上げは大安の日?

 日本には六曜というものがあり、色んな行事に於いて六曜を基準に日取りを決めていることが多いようです。
 では、ロケット(人工衛星)の打上げはどうなのでしょうか。

 確かにかつては六曜を気にして打上げ日を決めたこともあったのは事実で、私自身も打上げ日を決定する場に何度も臨席したことがあります。
 人情としても、大安でも仏滅でもどちらの日で設定しても良いとなると大安を選択したくなりますよね。

 ここで面白いデータをお見せしまよう。NASDA(宇宙開発事業団)時代からJAXA(宇宙航空研究開発機構)までの打ち上げを実施しようと決めた日と実際に打ち上がった日の対比表です。


クリックすると拡大画像を開きます。

 六曜だけをまとめてみると、次のようになります。

[単位:日]
(六曜) 当初予定 実績
大安 20 10
先勝 8 9
先負 13 11
赤口 7 8
友引 5 7
仏滅 4 12
(合計) 57 57

 確かに大安の日を打上げ日に設定することが多い(35%)のですが、実績としては17.5%です。皮肉なことに仏滅の設定(7%)に対しては、実績は21%です。
 因みに、N-IロケットからH-IIAまでの打上げに失敗したロケットの打上げ日の六曜については、仏滅が2日、先勝が2日、大安が1日です。先勝の2日は共に夕方の打上げでした。
 六曜を気にした方が良いのかどうか、この数字だと微妙ですよね?

 打上げに従事していた頃は、人事を尽くし天命を待つ、の精神で何事も臨むべきだとは思っていましたが、これらの打ち上げ失敗については、後からの解析や評価ではやはり十分人事を尽くしていなかったとの結果が出ています。
 十分尽くせなかった理由は色々あります。スケジュール、予算、技術力の不足等があげられますが、それはある意味逃げでしかないのでしょうね。

 科学技術だけではないでしょうが本当の意味で、人事を尽くし天命を待つ、と言うことを肝に銘じるべきなのでしょうね。

虎野吉彦
執筆者
元顧問虎野吉彦